かいぼりを
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かいぼりとは、日本の伝統的なため池の管理方法のことです。稲作を終えた秋季から冬季にかけて、池の水を抜い
て様々な作業を行います。農業で使う大切な水を維持することが、一番の目的です。しかし最近、都市部、公園、
神社、お寺などの池では、かいぼりを実施する目的が変わってきています。生態系や景観の回復のための切り札と
して行われるようになってきたのです。
特に、エラ呼吸しかできない魚類には効果的です。一方で、ウシガエルやアメリカザリガニなどは、根絶することは難しいです。生息している生きものに合わせて、やり方を検討しましょう。
水が汚いのは、水中に栄養分が多すぎるから。そしてその栄養分を餌にして植物プランクトンが大量に発生するからです。かいぼり後に池干し(1~2ヶ月程度水を抜きっぱなしにして底泥を乾かすこと)を行えば、水中や池底にたまった栄養分が減るため、水がきれいになります。
池の底泥の中には、たくさんの植物の種子が眠っています。コンクリートで固めたりしていなければ、古い時代の希少種の種子もあるかもしれません。かいぼりで底泥をかきまわすことで、眠っていた種子が目を覚ます可能性があります。水草が増えると、様々な生きものが池に戻ってきて、生物多様性が高まります。
かいぼりは一人ではできません。やろうとすれば、自然と興味ある人々のつながりができていきます。そして、かいぼりは楽しいイベントです。多くの人が興味を持ってくれます。かいぼりが、地元の自然を見直し、取り戻すきっかけになるかもしれません。
深い泥の中を歩いて生物を捕獲するために、胴長、タモ網、タライは必須の三点セットです。また、手ぬぐい(帽
子)やゴム手袋なども必要です。溺れるリスク、熱中症の可能性、泥の中のガラスなどの危険物など、かいぼりに
は危険もあることを意識しましょう。
日差しと泥汚れを防ぎます。髪に泥がつくと洗うのが大変。
傷や汚れから手を守る手袋。二の腕まである長い物がよく使われます。厚手のものは丈夫ですが、小さな生物をつまむときは不便です。
捕獲した生物を入れる容器です。少量のきれいな水を入れておき、魚がある程度たまったら運搬係にタライごと渡します。泥深いところでは浮きとしても使うので、大きめのものを用意します。
生物を捕獲する網です。かいぼりで使うタモ網は枠が丈夫なものを選びましょう。弱いものは泥の重みですぐに壊れてしまいます。
腰や胸まである長靴です。水や泥が深いところでも入ることができます。泥の中にはガラスなど危険なものがあるので、絶対に裸足で池に入ってはいけません。
かいぼりは「段取り9割」と言われます。役所での手続き、周辺にお住まいの方々への周知、道具の確保、
安全管理などなど、忘れてはいけない事前準備がたくさんあります。
それらが終わってようやく、楽しいかいぼり作業です。